新井さんから教えられたこと Part2
ファッション業界では全くの素人の私に新井さんはたくさんの事を教えて下さいました。
二十数年前玉川高島屋のアートサロンで初めて大きな展示会をした時新井さんが来てくださいました。
広い会場全体を黒竹で組まれた素晴らしい展示にしばらく見入ってから『良かったね、良かったね』と。
その後、ちょっと話があると会場の外へ招かれました。
新井さんの話は洋服の価格設定のことでした。
『久留米絣の高価な反物で手間をかけ心を込めて縫製したものをこんな安い値段で売ってはいけない』と。
『巾38㎝の着物用に織られたものを洋服にするのにどんなに苦労しているか。
量産しているものでも私たち高級仕立て職人の作っているものは20万、30万なんだよ。
藍木野のはそれ以上の価値がある。こんな値段では利益は出ないよ』と。
でも私が織元さん達からぜひ東京で久留米絣を広めてほしいと背中を押され、
着物に変わる何十年も長く着れる流行に流されない定番の形を紹介したいからと理由を説明すると
『あなたがそれで良いならいいけど、そうだね普通何十万もするとなかなか買えないよね。 素材も仕立ても最高のものだとお客様には説明して売るんだよ』と。
吉田